阿木交流センター

地区公民館と地域事務所、診療所を併設した複合施設である。計画当初、事業主体である中津川市ではコストの面から「鉄骨造」として計画が進んでいた。しかし、地元建設委員会や市の担当者レベルにおいては「木造にすべきではないか」という意見があったため、実施設計に取り掛かる前に設計者も交え実例やさまざまな比較検討資料を揃え、木造での実現性を示した。これに対する市の柔軟な対応により、木造化が実現した。

計画
もともと敷地内にあった段差を鉄筋コンクリート造地階倉庫として活用し、上部を木造在来軸組木工法の立面混構造として計画した。岐阜県産の一般流通材を基本として設計されており、一部、約12mスパンが必要となった会議室はトラス梁による架構とし、無柱の大空間となっている。地元産の木材利用についても、各方面の方々の尽力により構造材や造作材として利用することが可能となった。木構造の架構を生かした明るく開放的な木質空間は図書コーナーや勉強スペース、小上りの畳スペースなど地域に開かれたフリースペースとなっており、子どもから高齢者まで地域住民の交流の場をとなっている。東濃ヒノキの産地である中津川において木の魅力と地場産業の力を大いに発揮することができた。設備面では地域の防災拠点としての機能が求められ、太陽光発電、電気自動車による蓄電・給電システム、GHPによる発電と災害対応のガスバルクの設置やマンホールトイレなど、さまざまな場面に対応できる設備計画とした。
DATA
用途:地区公民館・診療所・地域事務所
構造・規模:木造+WRC立面混構造
規模:地上1階地下1階建
竣工年:2020年
エリア:岐阜県中津川市