サービス付高齢者向け住宅


完成。 2階の食堂から南西向きの大きな窓を見たところ。
明るい光が差し込みます。
「施設に入所する」という感覚ではなく、そこに「住みたい」と思えるような建物を目指しました。
楽しげな雰囲気になるよう、素材や色使いを工夫しました。

大スロープ。
1階の寝室(個室)からはエレベーター、階段のほか、このスロープで2階の共同食堂へとあがって行ことができます。近くにくると、自然と歩いてみたくなります。2階のカウンターに座り、スロープを歩いている人を見おろすのも楽しいものです。

この、施主の提案であるスロープは建物にとって必ず必要というものではありません。歩行訓練という名目はあるかもしれませんが、それにしてはあまりにも大きな面積、予算を掛けておこなう、この「遊び」の部分をどのように考えたらいいのだろうという迷いがありました。
しかし建物の大きな目玉ということで計画を進めてゆき、具体的にかたちが決まってきた時には、単なる「歩行訓練の場」ではなく入居者にとって「楽しい住まい」だということを印象付ける、もっと有意義にものになると思うようになりました。
スロープのある住まいというと、レーモンドの夏の家や、ル・コルビュジェのラ・ロッシュ邸等を思い出しますが、いずれも吹き抜けを介して1階と2階をとても自然につなげる効果があると感じましたし、つい無駄に歩いてみたくなるという感じもありました。とても楽しいものでした。この建物とはスケール感は全く違いますが、スロープというだけで似たような感覚を得られないでしょうか・・・という思いで、実際出来上がってその場に立ってみると、とても楽しく感じ、想像以上の効果を感じることができました。
入居者の評価はいかがなものになるでしょうか。心配ですが、きっと楽しんでいただけると思っております。